セッションの熱いココロは今宵もCafé Cotton Club(高田馬場)で開花される

ジャズ喫茶

1960年代、70年代日本。

ジャズ周りでは「ジャズ喫茶黄金期」を謳歌していた時代です。世の中はレコード等の音源が限られ、高価であったことからも、それらを真っ先に仕入れたジャズ喫茶にジャズファンは殺到し「珈琲一杯で何時間も粘る」のが当たり前にもなっていました。珈琲は決しておいしくなく、煙草の煙に充満し、音楽に集中するために「私語禁止」の店も多かったです。そんな時代の空気は今ではただ懐かしいものとなっているのかもしれません。

一方でCDが家庭に行き渡るようになると、ジャズ喫茶の必然性も薄れ、新宿などの繁華街には「雨後の筍」の如くひしめき合っていたジャズ喫茶も、今ではごく限られるようになりました。「生き残り」をかけてジャズ喫茶も様々な形態の変革に迫られながら、それでも生き残る店は核に「ジャズへの熱い想い」が深く浸透しているものと思います。

そんな1件。高田馬場のINTRO (03-3200-4396)

1975年創業のジャズ喫茶老舗の筆頭格の1件で、ジャズ喫茶の歴史を語る諸書籍にも必ず登場する店ですが、ひょっとすると当時の記憶と今の姿の乖離をご存じない方もいらっしゃるかもしれません。今は開店時間も夕刻で「ジャズバー」といえるような店。昔をご存じの方は行きなれた階段をゆっくり降りて、重厚(防音完備)なドアを何とか開けると、聞こえてくるのは生演奏。ライブバーです。しかも、ドアを開けて入ってくるお客さんは、多くが楽器のケースをお持ち。そして店に申告の上、店の段取りでステージに上がるのを待っておられます。いわゆる「セッション」。日によってはライブハウスによく登場されるミュージシャンに「ホスト」として登場してもらい、来客となるミュージシャンはホストと一緒にそれぞれの曲でそれぞれの構成で、熱い演奏の輪に入る。

そんなセッションは、複数の店で見られますが、INTROはその先駆けと言えるのでしょう。

しかも、INTROの近くに構えた姉妹店、イタリアンレストラン「CAFE COTTON CLUB」(03-3207-3369)の地下をライブの演奏スペースにして、類似の運営で、かつ、おしゃれで料理がおいしい「SESSION CLUB」に展開されています。原則金曜日の夕刻のセッション開催。

時は2022年7月22日(金)

最初のホストの「基調演奏?」は永武幹子(p)トリオ。(織原良次(fretless b),吉良創太(ds)).

7時半過ぎからの1時間弱の演奏の後、茂串オーナーの段取りの元、次から次へと楽器を持って来店されるミュージシャンを順次ステージに上がってもらっていきます。

大勢の参加ゆえ登場の回数はそんなに多くはなくても、すべての演奏者の表情の楽しそうなこと、楽しそうなこと!そして後方からそれらのミュージシャンを見つめる茂串オーナーの目の温かいこと暖かいこと!

この日は11時過ぎまで、延々と時の流れを忘れ、ジャズへの熱き想いが音楽家の言語で語り合えられていきました。

加えこの日はゲストが素晴らしい。ニューヨークから一時帰国の寺久保エレナ(as)、海堀弘太(p)、マーティ・ホロベック(b)、石若駿(ds)。セッション形式でありながら最高度の饗宴が延々と継続していきました。それらはすべて、1975年から脈々と流れる「INTRO魂」の継承と言うしかないと思います。

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