ジャズ喫茶でのリクエストの効能について再び考える!

ジャズ喫茶

ジャズ喫茶にわざわざ足を運び、何故にリクエストを控えてしまう?

思いつくところで2点でしょうか。

① 適当な盤が見当たらない

② 店主の考える盤の流れを乱すのでは、という恐れ

①はまあいいのですが、②は非常にその通りだと思います。一般的に店主は日々の業務として、おいしい飲み物等を提供することと同程度もしくはもっと「流れ」を重視しているものでしょう。いくらリクエストが重なるからとはいえ初心者向けの定番ものばかりかけているとすぐに飽きられてしまう。またあまりに両極端な盤をいきなり重ねると、せっかくの雰囲気を壊し不快感すら抱かれてしまう。ここでの端的な事例として”いーぐる”のマスターは「Carmen McRaeの BOOK OF BALLADSの後でCOLTRANEのACSENSIONがリクエストに挙がる」ことを挙げられています。これは酷だ!!

*「ジャズ喫茶 リアルヒストリー」(河出書房新社)参照

ちなみに解決策(の一つ)で、「いきなり両極端をかけずに少しずつ間で馴らしてACSENTIONに至る」といった涙ぐましい努力も紹介されています。かようにリクエストは気を使うものかもしれません。

それでは客は黙って店主の流れに従うものでしょうか?

ある程度経験を積んでその店のポリシー、それぞれの流れの絶妙さが周知されていれば、それもありと思います。実際そのポリシーを貫かれている店を私もリスペクトしています。

一方で、もう少し広範囲に客層を広げたい、といった営業的な事情があれば更に、客とのコミュニケーションを重視してもらうべきではないかと私は思います。そこでの有効な手段が「リクエスト」ではないかと。何故なら私語厳禁は言うまでもなく、そうでなくてもなかなか簡単には店主との会話は持ち辛いものですから。

コミュニケーション重視の店として私が感じているのが、もちろん例えばなのですが;

中野坂上のジニアス。「何かリクエストはありますか?」って非常にきさくにマスターは聞いてくれます。

白山の映画館。エリックドルフィーのFIVE SPOTど定番をお願いしたら、ちょっと物足らないと思われたのか引き続いてマスターのお薦めをかけてもらえました。

早稲田のJAZZ NUTTY。客の持ち込みすら歓迎してくれます。実際に持ち込んだ自分の好きな盤を他のお客さんが手に取って満足されたのを感じたりすると、一種の「連帯感」で極上の時間が過ごせます。

(持ち込み歓迎はNUTTY以外にもいらっしゃいます)

それぞれの店にそれぞれのポリシーがあるのと同じく、それぞれの客にそれぞれの楽しみがあるものでしょう。願わくばそれらがうまく合致することなのですが、そこに至る効率的な道は「リクエスト」ではないかと思います。

コメント

  1. 赤木巨照 より:

    ジャズバー店主です。

    こちらからは「リクエストはありますか?」とはあえて訊かないことにしています。
    「こういう店では気の効いた曲をリクエストするのが粋なのかな、何も言わないと素人と思われるのかな」と思われる恐れがあるので。

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