「ガチ中華」のアジアへの伝播事情ー餃子を題材にー

旅・食

ここ最近とみに「池袋チャイナタウン」を中心に「ガチ中華」の動きが一般市民に広がっています。「ガチ中華」の定義は乱暴には ①新たに日本に集まった「新華僑」が「本場の味をそのまま提供」 ②「それを日本人一般市民が受け入れている」ということだと思います。

さて、そんな動きと背景は、中華の地域としてのアジア諸国ではどうなっているのか?まずは餃子を題材にして11月に現地での実地検分をした上で、検証を広げてみたいのです。

・序章中国人の歴史的なヒトの移動状況

大国である中国ではかなりの昔からヒトの移動が大きくありますが、ここでは「1980年頃以降の(鄧小平による)改革開放」以前=老華僑。以降=新華僑。とわけたときに、日本では老華僑は華南地区(広東省、福建省、海南省)からが多く、横浜、神戸、長崎での三大中華街に代表されるところを中心に日本人に受ける味に微妙に変えながら深く広く浸透させてきました。それがいわゆる「町中華」に展開されていると認識します。

他方での新華僑は、基本的には中国全土から職と成功を求めヒトが集まっています。ここで「ガチ中華」の展開となり、食でいうと「東北地方(移動の人口比率が高い)」と「四川(周辺)(いわゆる激辛ブーム)」の二つが顕著となります。

さて、それでは「アジア諸国」はどうなっているのでしょうか?基本的な構図は日本と同じだと思います。アセアン諸国の華人は華南出身が大勢を占め、「南洋中華」の多くに反映されているのはわかるのですが、③東北地方から、四川周辺からの状況は?④それらは現地の一般市民にどのように受け入れられているのか?その辺がなかなか見えないので、現地で調べてみたい、と思う次第なのです。

・第一章:餃子の全体事情

まず餃子を題材に選んだのは「春節に家族で集まり餃子を作って新年を祝う」といった偉大な文化があるほどの、ある意味での「国民食」といえるところにあります。

餃子の種類は大きくは ⑤水餃子 ⑥茹で餃子(steamed)、スープ入りを含む ⑦焼き餃子 ⑧その他(揚げ餃子、特殊展開?としての「醸豆腐」などなど)としたときに;

⑤=中国東北地方のオリジン(小麦産地事情からの主食の位置づけ。皮厚く)

⑥=華南に広まる展開(コメ産地)で副食の位置づけでの多彩化(例えば点心での一品化)

⑦=日本で絶対的に浸透している特殊事情。戦後の満州地方からの復員兵が持ち帰って広めたという説が有力です。他の地域ではどうなっているか?多くが水餃子と並べられているようですが・・

東南アジア諸国では⑥が主体になる認識なのですが、東北地方からの移民が人数的にも多いなかで、⑤の状況及び一般市民の受け入れ状況を調べてみたい、に繋がっていきます。

第二章: 各地域事情

二ー1:香港

香港は広東人が大半で、広東料理への愛着が全体的にも強いところから、⑥への偏重が高いように見えます(日本での⑦に類似)。さて⑤の状況は?

二ー2:深圳

深圳は歴史的に「1980年以降」の動きが最も大きく出ている地域で中国全土から最も人が集まった経緯となる特殊性があります(広東語ではなく標準語が一般に使われる)。ある意味日本の「ガチ中華」の動きがいち早く広まった「先輩地域」だと思います。すごく面白い。当然ながら⑤も⑥も多くみられます。さて人々の認識は?ここでは少し時間をかけて、以前からの交友関係の援助ももらいながら改めてじっくりと見てみたいのです。

二ー3:ペナン

WEBでの情報源が薄めで、現地調査が必要なのですが、⑥は広まっているなかで⑤も調べれば存在いたします。

二ー4:シンガポール

二ー3に類似なのですが、他の料理でも3と4とでそれなりに特色も変わってきているので、餃子でも反映があるのかもしれません。

二ー5:ホーチミン

二ー3,4,5 と同じグループに入りそうです。3と4では移民が福建省からが多いのに対し、5では広東省のようです。この辺での違いは? またベトナムでは「チョロン地区」が中華街と認定されているのですが、食事場所としては「餃子ストリート」が有名ですが他の料理では目立って集中していなくて全国に散らばっているようです。この辺も面白いです。

なお、食事の伝播は、「現地化・適応」が大きいのですが、それに対しての「原点回帰」が一般市民にとっての「ガチ中華」の動きの特色と言えるようにも思います。たぶん世界共通の動きで「原点回帰」はあると思うのです。

引き続き事前調査を進め、現地調査と報告をいたします。

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