2日過ぎてしまいましたが、10月1日は中国では国慶節と共に「中秋節」でした。1週間程度の連休が取れて、旧正月の「春節」の連休と共に「民族大移動」の時期となります。
中国は広いです。各地の出身者が大都市に集まる事情から、この連休で、電車であると遠方であれば丸一日以上を片道かけて親に会いに帰る。重要な時期です。しかしそれも今ではひと昔前の話で、今年などはニュースによれば民族大移動は「国内旅行」のためだそうですね。
さてさて、中秋節といえば「月餅」です。表面に中国の油がコートされた饅頭をぎっしりと「凝個」された、そんなお菓子です。多少の癖はありますが私は好きです。味そのものよりやっぱり文化であり慣習であるからでしょう。
日本もその昔はお正月の挨拶にお祝い品を手持ちする風習があったようです。同じようなものがいくぶん派手に残っている。私が勤務していた会社でもお届け品として集まりました。それを、「社会主義的に!」一括で管理し、社員に均等に配布する。
ここでの心温まる記憶の一つです。
詳しくは言えませんが、あるとき中秋節前の一時期、「ある事情」で製品を配送するときの外箱に不本意な品質不良を発生させたことがあり、随分私たちを悩ませました。直接出荷の状態を見る立場にないので、後からお客様からお叱りの報告を受けるだけです。香港の大手のお客様のお叱りが一番堪えました。なかなか改善できない。お叱りは配送のたびに倍増されていく・・・
それでも人間、頑張るものです。目に見えて不良が軽減されていきました。お叱りがない! ちょうどその時期が中秋節前だったのです。普段こういうことはする習慣ではないのですが、月餅を手持ちして挨拶に行きました。置いて帰るだけのつもりだったのです。それでも先方は、かなりの上層の方がご挨拶に顔出され、「自ら」ご自分の月餅を切り分けられ、お茶と一緒にだしてくれたのです。
「よくいらっしゃいました」そして、「頑張っていただきましたね」
深圳への帰りには、持ってきた月餅以上の重さの「温かい気持ち」で心は満たされていました。僅かの涙で味付けされていたようです。
コメント