有朋自遠方来 WILL COME AND SEE YOU !

JAZZその他音楽

最後のライブの最後の曲も終わろうとしている。随分あっけないものだ。思えば長い間ただひたすら粉骨砕身でドラムを叩いてきた。少し休みたい。渾身の気合を込めてシンバルを割りそうに響かせ、止めて曲を終えた。今日は満席の客の拍手がただ温かい。こういうときは一言何か言うべきか。困った。言葉が出てこない。

何とか喋った。どうせジャズマンは音で気持ちを伝えるんだ、と開き直る。「長らく応援していただきただただありがとうございます!」それで閉めた。

「俺はやめるなんて許さねえ!」

何だ!いきなり!! 一人の男が椅子を立って叫んでいる。よく見たら亡くなったおやじじゃあないか。何でここに? どうみてもおやじだ。頭が混乱する。

「だったら仕事、紹介してくれるのか?」

思わずいいそうになった。やめたやめた。そんなことをするおやじじゃあない。しかし、よく目をこらすと、おやじの後ろに、満席のお客さんが同じ顔で熱い目を降り注いでくれている。

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作り話はここまでです。すべて実在の方との関連はございません。

あれはいつの頃でしたでしょうか。退職願を書いてひたすら楽になりたかった。会社の机の引き出しの奥にひそませたものの、急に中国に海外出張を命ぜられ出す機会を失いました。メールだけのやり取りで初めて会った仕事仲間が衝撃でした。驚くほど温かく迎えてくれました。心から楽しい宴席でした。何だ、こんないいヒトたちだったんだ。日本に戻り引き出しの奥のものを破り棄てた時の爽快感。 そして今も続く信頼関係。私の話はあまりに単純ですね! さあ、週末は熱いジャズを浴びに行こう!

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