旅は好きです。いろんな旅の楽しみ方は人それぞれ持っているものですが、私の場合は「別世界に行ける」ことが重要です。簡単には行かせてはもらえない。どうも決まった場所があるようです。
例えば香港。香港は私が最も好きな都市、といって差し支えません。いろんな場所でワープを体験できる。一番効力が高いのは何といってもビクトリアハーバーです。その昔中国の南の都市に数年間住んでいたことがあります。もちろん仕事です。仕事と生活の両面で猛烈に疲労を溜める毎日でした。一定以上が溜まるとこれはまずいと思い、隣国の香港に脱出しました。陸続きですぐなのです。そして自由の空気を思い切り吸い込んでリフレッシュしてきました。そんなときに必ず立ち寄るのがビクトリアハーバー。夜景が美しいのはありがたいが、それ以外に何か引き寄せるものがあったのでしょうね。たぶん、例えばアヘン戦争以来の、様々な歴史に翻弄された香港という地で、自由をものすごく重視しながら、懸命に生きてきた人々の気持ちを一番吸い込んできているからではないか、と思っています。もちろん特別に何かをすることなどありません。ただぼーっとハーバーを眺めているだけ。周りのカップルなど目に入りません。そしてしばし、時間を遡り、ゆっくりと戻ってくると、次の日からのエネルギーが十分蓄えられているのに気が付くのです。そんなことを繰り返してきました。
シンガポールも共通点のある都市です。ここでの生活経験はありませんが、短期出張は何回もしました。ここはやはりマーライオンでしょう。シンガポールの建国以来の様々な歴史を一番詰め込んでいるような気がします。水を勢いよく放出しているあの口に入り込み、水脈を辿っていきます。苦難と、その裏腹での楽しみが両壁に映し出されます。現在の輝く光景から、少しずつ色が薄れ、モノトーンになっていきます。そして戻ってきます。一緒ですね。違うのは、香港では戻ってきたらワンタンメンを食べて、シンガポールではバクテーを食べた、くらいでしょうか。
そんな、私の旅と、それに付随する食の楽しみについて、綴っていきたいと思います。
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